夫のウツがきっかけで
(KSさん)
2013/3月

 

基礎科前期・後期を終えて



 24年の8月に、夫の持病である鬱病がかなりひどいところまで再発し、マクロビオティックの食事で治せないかと思って調べていたところ、先生の教室のホームページに出会いました。
 教室のブログ、生徒さんのレポートを読み、自分と同じ体質や悩みを抱えている方々が多く、そして先生の仰られている言葉が、パソコン越しの私に向けてしゃべっているのでは?と思うほど、どれも全て心に響くことばかりでした。(夫には悪いのですが、)自分自身のためにも教室に行ってみたくなり、先生から直接学ぶことで、しっかりした生活の軸を身につけたいと思い立ち、秋9月の教室から通わせていただくことになりました。

恭子注:いつも私が言っているのは
「自分だけ仕合わせになりなさい」
「岡田恭子のハッピーマクロビオティック教室」日東書院より
看病する家族がいる時も、家族が病気がよくなることよりも、まずは看病する自分が健康でなければいけません。うしろめたさを感じることではありません。健康であってこそ、看病も乗り切れますし、長期で考えると看病する本人が元気でいれば、その方法がいいと分かり、伝わっていくのです。


私自身は7、8年ほど前からマクロビオティック食を続けていましたが、教室に通う直前にはかなりゆるゆるになっていました。
当初始めるきっかけとなったのは、良性ではあるけれど子宮筋腫が見つかったからです。
小さい頃からアレルギー体質で、花粉症はもとより、手足や顔のアトピー、季節の変わり目になると必ず引く喘息がひどく、酸素吸入が手放せない、便秘で冷え性、甘いものが大のつくほど好きで低血糖症。そして精神面でも気が弱く、心配性で、いつも悩みを抱えていました。
生理痛がひどいため受診したクリニックで「子宮筋腫」との診断をもらった際、今までの生き方全てのツケが来たような気持ちになり、自分はもしかしたら子供を産めなくなるんじゃないか、とぼんやりと思ったのを覚えています。相当のショックでした。自分が情けなく、「親からもらった身体や心を台無しにして、なんてことをしているんだろう…」と思いました。そんな時に、友人がマクロビオティックを進めてくれ、食を変えることで良い変化が訪れるとあり、自分の体質や傾向も変えられるかもしれないと、始めるようになったのでした。


それからは他のマクロビ教室の主催する通信教育を受けてみたり、桜沢如一先生や久司道夫先生、大森一慧先生など、マクロビ界で有名な先生がたの書籍を何冊も読んだりして、食事を続けてきました。毎日の食事が意味のあるものだと分かってからは、億劫で苦手だった料理がだんだんと楽しく、自分の中で比重の大きいものに変わってきてもいました。
 最初のうちの3年間はお肉は一切食べず、魚もたまに白身だけ、卵と牛乳を使ったものは一切摂らない生活を続けていました。アトピーは季節の決まった時期に決まった部位から、激しいかゆみを伴った好転反応が出て、身体中を虫酸が走るような痒さも次第になくなり、少しずつ治っていきました。痰が毎朝沢山出て、喘息も年を追うごとに出なくなっていきました。仕事や私生活でどんなに忙しくても、以前のようにだるくなることもなくなり、体力がついたのを自分でも自覚できるようになりました。そして4年目のクリニックで調べてもらったところ、「筋腫が小さくなっている」と言われたのです。嬉しかったです。


ところが、2年前から職場が変わり、希望していた配属先ではなく、マクロの天敵?ともいえるような職場に勤め始めるようになってしまったのです。卵・白砂糖たっぷり、生クリームたっぷりの洋菓子屋さんです。最初は頑なに食べないようにしていたのですが、試作品の試食を少し、少しと思っているうちに歯止めが効かなくなり、気がついたら偏頭痛やぜんそくなど、マクロビをする以前の体調が「ただいま?」とばかりに戻ってきていました。他の食事もだいぶ崩れてきてゆるゆるです。「これはまずい…始めた当初の決心はどこへ?なんとか食生活を立て直さないと!」と思うようになりました。

ゆるゆるの頃の私の食事です。
冬A
(朝)国産小麦のパン2枚、インゲン豆とレーズンのあんこ(てん菜糖使用)、
   めしもち(残りご飯と小麦粉を混ぜて焼いたもの)
(昼)うどん、タピオカ入りココナッツミルク
(夜)玄米、蒸し野菜(大根、春菊、椎茸)、小豆カボチャの豆乳マヨ和え、
野菜炒め(キャベツ、玉ねぎ)のあんかけ(市販の砂糖入りの焼き肉のタレと葛粉)

冬B
(朝)なし
(昼)うどん、パン、みかん、豆乳アイス
(夜)玄米、マーボー豆腐(ベジミート、ネギ、豆腐、コチュジャンなど使用)、
   春菊とひじきのサラダ

…冬にココナツミルクや、豆乳アイスを食べています(笑)。またよく豆腐にメープルやてん菜糖など、甘味料を混ぜてミキサーにかけた豆腐クリームを作っては食べていました。

頭では分かっているのに、身体を冷やすもの甘いものがやめられていませんでした。
甘味料を白砂糖以外のものにしていたとはいえ、使用頻度が高く、根本的には甘いものの呪縛から抜けられていなかったのです。

恭子注:マクロビオティック食をはじめて、しばらくたっている人の陥りやすい、典型的なマクロ食です。肉、魚、乳製品などの動物性蛋白質は、実は、断つことがそんなに難しくはありません。結構楽に止められるのです。ところが、甘いものに関しては、やめられません。これは、私のの提唱する「恭子式マクロ」の大事な点ですが、ミネラル不全が出始めると自覚はなくても、粉物が食べたくなり、甘いものの抑制が効かなくなります。論より証拠…ミネラル不全が治れば、この甘いものへの執着がおさまるのです。
そして、この食事を続けていると、体が冷えてきます。不妊症にもなります。体が冷えるということは、あらゆる病気が出やすくなるのです。どうぞ、恭子式マクロに切り替えてください。

私のブログではいつも言っていますが、白砂糖は悪だけれど、メープルシロップやてん菜糖、甘酒スイーツ、などの代替砂糖は、善だと思い込んでいる方がいます。間違いです。白砂糖であろうと代替砂糖であろうと、摂り過ぎは身体を冷やします。豆乳、豆腐も身体を冷やします。



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※この当時、一緒に暮らし始めた夫の夕食は私と同じ食事です。ただし勤務先では食堂があるので、自由に食べてもらうことにし、家ではストレスがたまらない程度に付き合ってもらっていました。同居当初は常に薬を服用していたのですが、2年ほど経つうちに薬がいらなくなるくらいに快復してきました。時々、季節の変わり目などに調子が悪くなります。調子を崩したら、昼食もそばやうどんなど、できる限り和食のものに切り替えてもらい、家では必死で
・甘い野菜のスープ(久司道夫先生著のレシピにある、たまねぎ、南瓜、人参、キャベツをみじん切りにし水から煮て、漉したもので、血糖値を下げたり精神を穏やかにする効果がある)、
・梅生番茶
・ヤンノー(小豆を炒り、より陽性にしたもので、腎臓を強化し気持ちを安定させる効果がある)
を飲んでもらう…というようにしていました。
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岡田先生の教室に通い始めてから

マクロビオティックで魅力的な思想のひとつは、宇宙のあらゆる現象が陰陽で成り立ち、そして人も宇宙の大きな仕組みの中のひとつ、一体であるんだ、ということでしょう。私もマクロビを始めた当初、とても感動しました。
でも、岡田先生の教室でまず教えられた大切な事は、陰陽表ではありませんでした

1 よく噛むこと
2 主食をたくさんとること
3 腹8分目にし、小食を心がけること
4 夕食は9時までに必ず終え、早寝早起きなど、生活リズムを正すこと
5 砂糖の害は肉より根が深く、悪い


これらを先生は授業のたびに、何度も何度も繰り返し話してきかせてくれました。
先生の身をもって体験された話や、水野南北の「食を慎むことで運は良い方向に変えられる」というお話を聞いて、陰陽の表ではなく、もっと大事なことは別にあるんだ、ということに気づきました。
むしろこの平凡に聞こえる教えこそ、実行することがとても難しく、陰陽の思想にも通じるような、人として生涯で身につけるべき真理が込められていて、生きる上で心に留めておくことなんだと思えるようになってきました。

振り返れば、私はマクロビ食をしていても、上の教えを見事に外れていました!いつも夜更かし、欲張りでお腹いっぱい食べていたし、主食よりも、それに添えるおかずの方に力点を置いて作っていました。間食が多く、良く噛む、ということも念頭になかったです。

教室に通い始めてからの食事と、食事を実践してみての変化
夫の食事は夕食のみ一緒、昼食は社食です

恭子注:意外に思うでしょうが、男の方にとって、昼食は社食、というのは健康にとって良いのです。本来陽性であるべき男性は、一時的にはいいですが、全く動物性蛋白質をずっと抜く、というのは、覇気がなくなり、生命力がなくなってきます。



冬A
(朝)梅生番茶
(昼)五目玄米ごはん、
(おやつ)シンプルクッキー
(夜)玄米雑穀ごはん、ごま塩、きんぴらごぼう、蓮根の黒米はさみ焼き、のりと梅のすまし汁

冬B
(朝)梅生番茶
(昼)白米と黒米のごはん、ごま塩、アップルパイ
(夜)玄米ごはん、けんちん汁、野菜の天ぷら(ごぼう、野沢菜)、小豆かぼちゃ


1、2
朝は梅生番茶。お昼のお弁当の中身はほぼ主食のみにし、夕食もごはん茶碗を大きいものに替え、自然に主食が多くなるようにしました。ゆっくりよく噛むように心がけたら、食後に「ありがたいなー」という気持ちと満足感が感じられるようになってきました。教室にくる前までは不規則だった、健康な「お便り」も一日置きですが、やって来るようになりました。たまに仕事などで忙しかったり、気にかかることがあると、よく噛まずに飲み込んでしまっています。そういう時は胸やけしたり、食べた実感が湧かずもっと欲しくなります。

恭子注:一番大切なことは…
「大きい便り」です。

「便り」身体の中の状態を知らせてくれるセンサーなのです。




食いしん坊ですので難しいです!
ただ、暴飲暴食をすると、ときどき歯痛になります。
食事ノートに食事と「お便り」の他に、「食べた分量」をつけるようにしました。いまだにノートには週に何回も「食べ過ぎ」マークが…。でも、ノートをとることで自分の体調の好不調がどんな時に来ているかを見返せるようになり、今調子が悪いのはなぜなんだろう?それを立て直すにはどうしたらよいか?などを自分で考える癖がつくようになりました。

恭子注:自分で考える…これこそが、私の教室の目的です。
ずっと私が、皆さんの家に住み込んで、ばあやのように、これを食べるといいですよ、これを食べると身体に悪いですよ、と付いて言ってあげられるわけではありませんから。



夕食の時間は、遅く帰宅する夫に合わせて22時以降に食べていたのですが、先生のアドバイスをもらい、夫に相談のうえで先に食べることにし、たまにおかずだけ付き合うことにしました。「夕食まで待てない→間食」がなくなり、気持ちが安心して、食後に他の家事が出来る時間が生まれ、台所の後片付けをきちんと終わらせるところまで気を回せるようになってきました。これがとても嬉しく、気持ちが良いです。

恭子注:これも「自分だけ仕合わせになりなさい」のひとつです。


甘党の私には、これが一番、実行が難しいです。
忙しいと甘いものが必ず欲しくなります。まだましだろう…と米飴やドライフルーツ、手作りの玄米甘酒を大量に食べ、どこかが不調になって、の繰り返しです。教室に来て、はじめて白砂糖でなくても甘味料というものは身体に負担をかけることが納得できました。少しの量で満足できるように、少しずつ減らせると良いです。

不調の時、忙しい時は…
玄米とけんちん汁、恭子先生の3種の(食養)神器「ひじき蓮根・きんぴらごぼう・しぐれ味噌」が良い、ということを聞き、調子が悪くなると玄米クリームと共に実行しています。とくに手作りしたけんちん汁は本当に美味しいです。身体に沁み渡り、あったまって安心する味です。

今のマクロビ食はとても美味しそうでレパートリーも多く、華やかで、目移りしてしまうほど。それでも、いざ病気になったときには献立を考えるのも億劫になり、どれを試して良いだろうか…と、数の多さがかえって障害になるようにも思います。
シンプルで一番に効く、ひとつのものを、すがるように求める気持ちが湧きます。
そんな時、この献立は、いつも迷ったら返ってくる場所のようなものになりました。どんなにありがたいことか…仕事が忙しい中でも、これらを多めに作り置きしておき、食べ続けていたら、イライラや疲れを翌日に持ち越さずに毎日を送れました。夫の調子が悪いときもこの食事に戻るようにしています。




先生の言葉と気持ちの変化
先生からは教室に行くたびに、はっとさせられるような言葉をもらいます。なかでも、「天与の分限」と、「いくら健康になっても考え方の癖を治していかないと、病気はまた再発する」という話に、ぎくっとしました。私はこだわりが強く、いつも分限を超えて限界以上のことを求める傾向があるからです。それが自分を高めると思ってきました。でもこれも度を過ぎると考え方の癖、食べ過ぎも含め、仕事のし過ぎや、夜更かしも、同じ癖から来ているのかもしれないなと、やっとこの頃、自分に照らし合わせて考えるようになってきました。
一見何も関係ないようですが、どれも満足をしない心の現れ、自分の器を超えたことなんですね。このままですと、行き過ぎばかりが高じて命を縮めてしまうのでしょう。考え方の癖は教室に行かない限り分からなかったことです。どこのマクロビの本にも書いてありません。

恭子注:器を越えれば病気をする…
これは、食べ物だけに限らないのです。
上の役職に就いたときに、うつ病になりやすいこともこの原理です。
器を越えたお金を得たいと思うとき…


「人は究極には他人を救えない。けれど、支えることはできる」
気持ちの滞り、を『ともかく』目の前にあることから用事を少しずつこなして心を流していく
夫のうつがひどくなると、本人が自然に元にもどるまで待つことしかできないです。先生の「支えることはできる」の言葉に涙が出ました。夫の症状を見ていると、まさしく何かを気にかけ、思考が出口のない迷宮のように頭の中でぐるぐる回り行き場がなくなっているように見えます。私自身も悩んでいると、同じようになる性質があります。似た者夫婦なのです。ですから、折に触れて「流す、流す」と二人で唱えあっています。

今後の課題
私は今まで相当量の砂糖を摂ってきましたし、自分の心の癖がどんなものか、やっと見えてきた段階です。この体質、癖から自由になるには長い時間がかかりそうです。夫の症状についても同様です。
教わったことを忘れて、反省することも多いです…。何度も行ったり来たりしながら、続けていくことにします。でも、以前のような不安はありません。
自立して、陰陽を超えて、最終的にはこの世の中全体の幸せを考えられるような、大きな考え方をできるようになれ、と背中を押して下さる先生に巡り会えて、幸せです。前期と後期の授業は私の財産になりました。ありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いいたします。




 恭子から一言

この方は、とてもとても、心の優しい方です。

お連れ合いの病気がきっかけですが、実はご本人こそが健康に仕合せになっていただきたい方です。

その健康に仕合せになるハウツウ「恭子式マクロ」を学んで、仕合せになっていただきたいです。